5月29日(木)に、専門学校 健祥会学園様による「介助を要する人の起き上がり~車いすへの移乗介助」というテーマで講義が行われました。
これは、徳島県内の介護施設・事業所で働く介護職員のキャリアアップ・スキルアップを目的として開催されている出張講義です。
今回は、専門学校 健祥会学園の河野 和代先生に介助を要する方の起き上がりと車いすへの移乗介助についてご講義いただきました。

介護職において尊厳と自立は密接な関係にあり、最も大切にすべき考え方といえます。
日本は世界トップクラスのスピードで高齢化が進行しており、65歳以上が総人口に占める割合はすでに28%(2022年時点)を超えています。厚生労働省によると、2025年にはこの割合が30%前後に達すると見込まれており、今後も高齢者数の増加に伴う要介護者の急増が避けられない状況です。
介護を必要とする高齢者が増えるにつれ、施設や在宅サービスを支える介護職員の不足も深刻化しています。厚生労働省の報告では、2025年には介護職員がおよそ約38万人不足するとも言われており、このままでは現在の介護サービスの質を維持することも困難になる恐れがあります。
このような背景・現状から、介助する側・される側の負担を軽減するための介助方法や福祉用具、介護ロボットの利用・活用を行うことが重要となっています。
ボディメカニクスを活用する
動作するときに骨や筋肉、関節、神経が相互にどのように作用するかといった力学的関係を活用したものです。ボディメカニクスを活用すると、最小限の力で身体介助をすることができ、介助する側・される側双方の身体的負担が軽減できます。
ボディメカニクスの8原則
➁ 介助する側とされる側の重心市位置を近づける
➂ より大きな筋群を利用する
➃ 利用者の身体を小さくまとめる
➄ 「押す」よりも手前に「引く」
➅ 重心の移動は水平に行う
➆ 介助者は身体をねじらず、骨盤と肩を平行に保つ
➇ でこの原理を応用する
ベッドで休まれている利用者様へ声掛けを行う際は、やや斜めから利用者様の視線範囲で、ゆっくり・はっきりと声掛けをすることで威圧感や恐怖心を与えることなく行うことができます。
また、身体が下方向へズレることを防止できるため、ギャッジアップ時に滑り止めマットを足元に敷くこともポイントです。


介助する側が、立位状態の場合と座位状態の場合の2パターンをご指導いただきました。


跳ね上げ式車いすやマルチグローブ等の福祉用具の活用・使用方法についても勉強しました。


移乗時、利用者様に動く方向を見てもらいます。
患側保護、膝折れ防止をして介助をします。
動いた後は、毎回体調確認を行い、起立性低血圧に注意します。
浅く座る時は、患側→健側の順番で行います。また、患側に荷重がかかり皮膚障がいや関節障がいのリスクを考慮する必要があります。
自然な動きを意識して、潜在能力を引き出し一つひとつの動作に声をかけ、意識してもらうことが自立支援につながります。
河野先生にご指導いただき、移乗介助の練習を行いました。

