2024.12.25

【介護技術研修】介護福祉士の倫理

12月20日(金)に、専門学校健祥会学園様による介護福祉士の倫理についての講義が行われました。

これは徳島県の事業で、県内の介護施設・事業所で働く介護職員のキャリアアップやスキルアップを目的として開催されている介護出張講義です。

今回は、専門学校健祥会学園の遠藤 春香先生にご講義いただきました。

①尊厳とは?

「人として当たり前の生活ができること」
「一人の人として生きること」

例えば・・・排泄における尊厳について。

採尿バッグをそのままにして置いているが通常、排泄は人に見られたくありません。この場合の利用者様への尊厳とは何か、まずは考えることが大切です。

案として、採尿バッグを布などで隠すということも可能です。私たちは利用者様の立場に立って、利用者様の尊厳にどれだけ気付くことができるか常に考えていかなければなりません。

②なぜ不適切ケアが起きるのか

不適切ケアが起きる理由は、様々な要因が関係しています。

1.組織運営・・・介護に対する理念が掲げられているかどうか
2.チームアプローチ・・・リーダーの役割が明確ではない、スタッフ間の情報共有ができていない
3.ストレス・・・人を相手にした仕事による負担や介護職が減少している状況
4.ケアの質・・・勉強会を開催しているかどうか、個人の知識があるかどうか
5.倫理観・・・利用者本位に沿った介助ができているかどうか

これらの背景により不適切なケアが起き、意図的虐待(「緊急やむを得ない」場合以外の身体拘束)や非意図的虐待(虐待しているつもりはないのに結果的に行ってしまっている)があります。また、虐待かどうか判断が難しいグレーゾーンと呼ばれるものもあります。これらをそのままにしていると、顕在化した虐待につながってしまう可能性があります。

利用者様はなかなか相手に自分の意思を言うことができません。普段の私たちにもあり得ることです。

ここで重要なことは、気付くことです。自分で気付いたり、他者から教えてもらったりしてまずは相手に「関心」を向けることが大事になります。また、他者から教えてもらう関係や、お互いに声をかけることができる環境も整える必要があります。

③実際に体験してみる

職員が二人一組になり、一人は利用者役になり椅子に座ります。このとき、利用者役は手足の力を抜きます。もう一人は介助者役になり、利用者役の手足を上下に動かします。次に、利用者役は手足に力を入れます。介助者役は再度利用者役の手足を上下に動かし、どちらのほうが手足が重く感じたか体験しました。

利用者は状況によって重さが変化します。

視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚において、自分とは合わない感覚になると筋肉が硬くなり重く感じてしまうそうです。

④講義に参加して

利用者様に心地よく毎日を過ごしてもらいたいと思い、私たちは日々業務に勤めています。しかし、自分が行った行動が、ふとした瞬間に利用者様にとって不快になる場合があったり、問題を自分一人で抱え込んでしまったりすることもあるかと思います。

私たちは、常に利用者様にとってどんなことが良いのか、どう接していけば良いのか利用者様にとっての尊厳を考えながらケアをしていかなければなりません。業務の中で一人では解決できない問題が起こることもあります。そんなときにチームアプローチの観点から、周りでサポートしてくれる上司や仲間、後輩と助け合える環境を作ることも大切であると感じました。

この度は、貴重なお時間をありがとうございました。