11月25日(月)に専門学校健祥会学園様による認知症VR体験の講義が行われました。
これは徳島県の事業で、県内の介護施設・事業所で働く介護職員のキャリアアップやスキルアップを目的として開催されている介護出張講義です。
当日は専門学校健祥会学園の佐藤 敦史先生に認知症についてのご講義をいただき、VR体験を行いました。
今回は、①アルツハイマー型認知症の視空間失認と②レビー小体型認知症の幻視について体験させていただきました。
①アルツハイマー型認知症の視空間失認 (車から降りる場面)
自分がビルの屋上に立っているところから動画が始まります。
急に後ろから介護職員が「大丈夫ですよ、降りましょう」と声をかけてきます。
何度優しく笑顔で大丈夫と言われても、自分はビルの屋上に立っているのに何が大丈夫なのか。
そしてまた、背後から違う職員にも同じように「大丈夫だから」と声をかけられます。
●殺されるかと思った。
●恐怖しかなかった。
●自殺をしろと言われているのかと思った。
●屋上から突き落とされるのかと思った。
●背後から言われて余計にびっくりした。
●不安が強く、声かけが耳に入ってこなかった。
●何がどう怖いのか私の話を聞いてほしかった。
●今、どこにいて何をしているのか説明してほしかった。
●声かけだけでなく一緒に行動したり、手を引いたりしてほしかった。
●今の状況を説明してほしかった。
相手に何が怖いのかをお聞きした上で、対応することが重要だと感じました。
ご本人様は、車から降りるのではなくビルの屋上に立っていると認識しています。一度車のドアを閉めて、車に乗っていることを認識してもらえるように「家に着きましたよ、車から降りましょうか」と対応することで、スムーズに車から降りることができていたのかもしれません。
②レビー小体型認知症の幻視
音楽サークルで久しぶりにコンサートを行うということで、お友達の家で打ち合わせをすることとなり、お家へ伺ったところから動画が始まります。
玄関のコート掛けに帽子が掛かっているが、それが急に男の人に変わる、、、。
リビングに行くまでにも急に人が立っていたり、座っていたり、いなくなったりする、、、。
ソファーに座ると急に犬が走ってきたり、携帯電話の線が蛇になったり、ケーキの上に虫がいたり、、、。
窓は開いていないのに風が吹き、カーテンがゆらゆらと動き出す、、、。
●気持ち悪い。
●怖い。
●不安だ。
●何が本当で何が幻視かわからない。
●こんな風に見えているんだなあ。気持ち悪いだろうな、怖いだろうな。
●話を聞いてほしい。
●症状について知ってほしい。
●気持ちを分かってほしい。
●否定しないでほしい。
●自分の状況を理解して安心感を与えてほしい。
幻視は触ると消え、暗いと見えやすい。
ご本人様の話をお聞きし理解することで、実際に見えている部分に触ってあげたり音を鳴らしたりする。また、部屋を明るくすることで幻視が見えなくなることもあるので、傾聴・理解・共感することが大切であると感じました。
どちらの場面でも、まずは「私の話を聞いてほしい」と感じる職員がほとんどでした。
最初に相手の気持ちを理解しないと、「大丈夫」と優しく笑顔で声をかけられても恐怖にしかならないということを身を持って体験しました。
自分たちは、しっかりと利用者様の言葉に耳を傾けられているか。
時間に追われる中、早く入浴してほしいからと利用者様の気持ちに寄り添わず、「大丈夫、大丈夫」と言っていないだろうか。
今回、利用者様の立場になり考えることができたのは、とても有意義な時間だったと思います。
貴重な講義をありがとうございました。